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コラム (2005年8月)
格安航空券でも100%加算の時代に終止符?

こんにちは。マイルで得得のデイビッドです。

アメリカ系マイレージプログラムは、外資系マイレージプログラムの中でも特に人気がありますが、人気の理由としてまず挙げられるのが「マイル加算率の高さ」です。

格安航空券やパッケージツアーでも加算率が100%だと、マイルが貯めやすいので特典旅行をより早く近づけることができます。

例えば、ユナイテッド航空(UA)・マイレージプラスでは、自社便はもちろん、全日空などの一部提携航空会社を除き、格安航空券でも100%加算されます。

アシアナとスカンジナビアの加算率が低下

しかし、UA・マイレージプラスは2005年6月に新たな変更を追加しました。その変更とは、ずばり加算率の低下です。

加算率低下の対象になったのは

アシアナ航空
スカンジナビア航空

の2社です。(UA・マイレージプラスが行った変更というよりは、むしろアシアナとスカンジナビアの2社がスターアライアンス系の各マイレージプログラムに変更を加えたという感じになります。)

新しい加算率の内容は以下の通りです。

●アシアナ航空の一部の格安・ツアー運賃
100%→70%

●スカンジナビア航空の一部の格安・ツアー運賃
100%→25%

私も含め、この加算率低下は格安・ツアー運賃を主に利用する人にとっては非常に厳しい内容です。特にスカンジナビア航空の場合、一気に加算率が4分の1に減ってしまいました。

時期や料金にもよりますが、私はいつかロンドンに行くときにアシアナ航空を利用してみたいと思っていました。しかし、正直言って今はその気持ちが変わってしまいました。

100%と70%は数字で見ると30だけの違いですが、ヨーロッパなどの長距離路線を利用した場合、この30%の差はとても大きくなります。

例えば、10,000マイル加算されるところ、実際には7,000マイルしか加算されないことになります。成田〜シンガポール間の約片道分を損してしまうことになります。

マイルズ&モアは全提携エアラインを対象に
加算率を変更


少し前になりますが、ルフトハンザドイツ航空(LH)・マイルズ&モアは2004年8月にさまざまなルールの変更をしました。そしてその変更の1つが加算率です。

新しい加算率を高い順に見てみると、

ファースト

ビジネス

エコノミー普通運賃

エコノミーPEX運賃

エコノミー格安・ツアー運賃


となっています。

提携会社により例外がありますが、基本的に全ての提携航空会社のエコノミー普通運賃の加算率は150%で、エコノミー格安運賃の加算率は50%と、同じエコノミークラスでも100%もの違いがでてきます。

一昔前までは、ファースト→ビジネス→エコノミーのように、座席クラスを基準にして加算率が決められたのが一般的でした。

例えば、エコノミークラスに乗った場合、ものすごく高い普通運賃を利用しても、とても安いツアー運賃を利用しても、同じ座席クラスだから同じ加算率でマイルが加算されるのが普通でした。

同じエコノミークラスでも加算率に差が

しかし、最近ではルフトハンザのマイルズ&モアように、同じエコノミークラスでも、運賃によって加算率を変えるマイレージプログラムが増えてきています。

つまり、同じエコノミークラスでも、「普通運賃やPEX運賃などの高めの料金を払っている人にはマイルもその分あげるけど、格安航空券やツアーのように安い運賃で乗っている人にはマイルも少ししかあげない」という方針に変わりつつあります。

格安料金を主に利用する人にとってはきつい変更ですが、どうしようもありません。マイルの貯まるペースが遅くなるけれど、低い加算率で頑張っていくか、又は格安でも100%加算されるマイレージプログラムや航空会社に乗り換える必要があります。


この変化に喜ぶ人たちもいる

この格安運賃に対しての厳しい変化は残念なことではありますが、同時にこの変化をうれしく思っている人もいます。それは、ビジネスクラスとファーストクラス利用者です

ビジネスクラスやファーストクラスを利用する全ての人とは限りませんが、「私は高い運賃を払っているんだから、もっとエコノミー格安航空券を利用している人たちの加算率を低くしてほしいな」と思っている人がいるのも事実です。

例えば、アメリカ系マイレージプログラムの加算率は、例外を除いてビジネスは150%、エコノミーは100%というのが一般的です。

つまり、ビジネスとエコノミーの加算率の差は50%=ビジネス利用者はエコノミー利用者の1,5倍のマイルを獲得していることになります。

では実際のチケット代の差はどうでしょうか。エコノミー格安航空券の1,5倍の料金でビジネスクラスに乗れるでしょうか? もちろん無理です。

例えば、成田〜ロサンゼルス間のノースウェスト航空・エコノミー格安航空券が6万円だとした場合、同路線のビジネスクラスをエコノミー料金の1,5倍である9万円で利用できるわけがありません。

実際には約25万円は最低かかるので、最低エコノミー料金の4倍以上の料金になります。

航空券の料金では4倍以上もの差があるにも関わらず、加算率では1,5倍の差しかないのは、どう考えても公平ではありません(もちろんビジネス利用者の視点から見た場合です)。

もしエコノミー格安の加算率が50%になったら、ビジネスの150%では3倍多くマイルが貯まる計算になるので、不公平さは大分減ることになります。

1番うれしいのは航空会社
でも加算率低下は顧客離れの危険も


格安航空券やツアー運賃の加算率を下げることにより、格安旅行者は悲しみ、そしてビジネス・ファースト利用者は少なからずも喜んでいるのは確かです。

しかし、この加算率低下に一番喜んでいるのは、もちろん航空会社そのものです。加算率が減ることにより、会員たちのマイルが貯まる速度が遅くなります。ということは、特典航空券が使える人が一気に減ります。

私たちが一生懸命に貯めているマイレージは、航空会社側から見れば負債と同じ扱いになります。加算されるマイル数が少なくなるということは、航空会社の負債額も減らせることになります

同時に加算率を下げるということは、顧客離れの危険性も潜んでいることになります。例えば、スカンジナビア航空の加算率は悪いから、格安航空券でも100%加算される

ルフトハンザドイツ航空
オーストリア航空

などを代わりに利用する人がでてくる可能性があります。

今回の加算率低下は、スカンジナビア航空とアシアナ航空の2社にとどまりましたが、近い将来、この現象がより多くの提携航空会社便に広がるかもしれません。

加算率はマイレージプログラムで最も重要な部分でもあり、同時に、最もよく変更される部分でもあります。特に、格安やツアーの加算率に関しては、これから用心深く見守ったほうが良さそうです。


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※このページの情報は2005年08月現在のものです。