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コラム
掲載:2020年4月

ANAが新型コロナで倒産(経営破綻)して、マイルが無効になる可能性が低い4つの理由

※このコラムでは、ANA倒産の可能性と、マイレージの関係について解説しています。





目次



ANAが最大1.3兆円規模の融資枠を申請。経営は大丈夫なのか?
ANAのマイルが大丈夫であろう4つの理由を紹介


みなさんご存知の通り、新型コロナウィルスの感染拡大により、世界中の航空会社の経営状況が悪化しています。

日本でも、ANA、JALのほとんどの国際線が欠航しており、大きなダメージを受けているのは明らかです。

そんな中、少し衝撃な数字を含む報道がされました。

ANA、政府保証を要請へ。1.3兆円融資の一部

1.3兆円という膨大な金額を聞くと、マイラーの方なら

「そんなに巨額なお金を借りなければいけないほど、ANAの経営状態は悪いのか? コロナウィルスの状況が改善されなければ倒産してしまうのか? ANAマイルも紙くずになってしまうのではないか?」

のように心配されている方もいるのではないでしょうか。

そこで、2010年に掲載したコラム「JALが法的整理してもマイレージは保護される4つの理由」と一部内容は重複しますが、

「ANAが新型コロナの理由に倒産して、ANAマイルが紙くずになってしまう可能性は低い4つの理由」

を考えてみたいと思います。


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理由1:
融資枠の一部は政府保証


記事
ANA、政府保証を要請へ。1.3兆円融資の一部
によると、

「1.3兆円の一部は政府が保証してくれる予定」
と説明されています。

つまり、今回の緊急事態でANAが借りるお金の一部は、最悪ANAが返済できなくても、国が代わりに返済してくれることになります

ということは、
「融資という言葉は使われているが、実質は政府から支援を受けられること」
になるわけです。

1.3兆円全額をANAが返済する必要があるならば、経営に大きな影響を与えますが、一部だけの返済なら、ANAへの負担も一気に少なくなるわけです

ANAが1.3兆円全額を借金するわけではないので、ANAは必ず経営危機に陥る可能性は、今のところは低いと考えても大丈夫かと思います。


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理由2:
2010年にJALが法的整理した時、JALマイレージは保証された


2010年、JALに対して行われたのは「法的整理」で、法的整理を通してJALは新しい航空会社に生まれ変わったのであり、これは「倒産」にはなりません。

肝心なJALマイルですが、JALが法的整理された時、JALマイレージバンクは通常通り継続されて、マイルも全て保護されました。

このように、日本では

「経営危機だったJALを法的整理させて、マイルも保護対象にした前例」

が作られているので、ANAに万が一のことがあっても、「ANAマイルも保護されるであろう」と安心できる過去があるのは心強いです。


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理由3:
新型コロナウィルスの影響でANAが経営危機に陥っても、JALのように法的整理される可能性は高い


上記の理由2は、「JALが法的整理された時、JALマイルは保護されたから、ANAが法的整理されても、ANAマイルは大丈夫であろう」という理由でしたが、

ここで

「ANAマイルが保護されるのはANAが法的整理されるのが前提だから、万が一、法的整理されず倒産してしまったら、ANAマイルも無効になってしまうのでは?」

という不安があるかもしれません。

でも考えてみてください。

2010年に法的整理されたJALですが、経営危機に陥った理由は、新型コロナウィルスのような天災ではなく、

・多くの赤字路線を維持し続けた
・燃費の悪いジャンボ機を多く保有していた

など、JAL側の責任が主になります

JALの傲慢経営が主な理由で、経営危機になったにも関わらず、政府はJALを再建することを決めたわけですから、

「ANAが新型コロナウィルスという不可抗力で経営危機に陥った場合も、日本政府はANAを再建させるために法的整理させるだろう」

と考えられます。

もう1つANAを破綻させない理由として、現在はANAがフラッグキャリアになっていることも見逃せません

昔から「JAL=日本のフラッグキャリア」と日本を代表する航空会社でしたが、現在のANA国際線規模はJALを上回っています。

しかも、昔は政府専用機の管理はJALに委託されていましたが、現在はANAに変わっています。

これらの点を考慮しても、「現在の日本のフラッグキャリアはANAだから、政府はANAを簡単に倒産させる可能性はかなり低い」と考えられます。



理由4:
JAL同様、ANAにとってもマイレージは貴重な収入源


(※2010年に掲載したコラム「JALが法的整理してもマイレージは保護される4つの理由」と以下内容は重複しますが、ANAバージョンとして掲載しています)

なんとなく、「マイレージプログラムがあるせいで、大勢の人がタダで飛んでいるわけだから、マイレージプログラムは航空会社の赤字に拍車をかけているのでは?」と思われるかもしれません。

実はそれは正反対で、「マイレージプログラムは航空会社にとって、貴重な収入源の1つである」と言えます。

例えば、1つのフライトを例に見てみます。

300人乗りのフライトがあり、そのうち280人がお金を払って航空券を買った乗客とします。

20席余ることになるので、その20席を特典航空券用に回せば、20人はマイルを使って特典航空券で乗れることになります。

「本来その20人も有償航空券で乗れば利益がもっとでるのに、特典航空券で乗せてしまうから赤字になるのでは?」と一瞬思ってしまうかもしれません。

しかし、航空会社の思い通りに行くわけではなく、繁忙期や、台風などで欠航が続いた後などを除き、フライトが満席になることはあまりありません。

そして、300人乗りの飛行機に300人乗ろうが280人乗ろうが、航空会社側の経費はそんなに変わらないのです

300人だろうが280人だろうが、パイロットや客室乗務員は同じ人数必要ですし、燃料費もそんなに変わりません。増えるコストは機内食やドリンク類ぐらいで、コストもそんなに高くないと言われています。

つまり、特典航空券で客をタダ乗りさせても、航空会社側は、ほとんどコストが増えないことになります

続いて視点を変えてみて、マイレージプログラムはどうやって利益を得ているのでしょうか。

例えば、現在多くのマイレージ会員が、Tポイント、楽天ポイント、Gポイント、ネットマイルなど、様々な提携ポイントを貯めているかと思います。

実はこの各ポイント、航空会社にとっては大事な収入源になっているのです

例えば、楽天ポイントはANAマイルへ交換できますが、これは

「楽天ポイントをANAマイルへ交換する際、楽天側がANAからマイルを買い取って、楽天ポイント会員にANAマイルを付与している」


ことになります。

つまり、大勢の人が楽天ポイントをANAマイルへ交換する度に、ANAは楽天にマイルを売って儲けていることになります

マイルの販売価格は1マイル数円と言われていますが、毎日大勢の人が提携ポイントをマイルへ交換しているので、それだけでもかなりの収入になることがわかります。

ここでは、例として楽天ポイントを挙げましたが、同じような形式でANAは多数の会社と提携しているので、その分収入も結構あることが予想できます

このように、「ANAは多数の提携会社にマイルを売って儲けているのに対し、実際に特典航空券で乗客を乗せる時は、コスト負担が少ないことを考えると、マイレージは立派な収入源であること」が見えてくるかと思います。

せっかく立派な収入源であるマイレージプログラムを、ANAが簡単に廃止するでしょうか。

マイレージプログラムを廃止してしまえば、「大事な収入源を失う」「顧客がJALに移動してしまう」のダブルパンチになってしまうわけですから、そう簡単に廃止はされないと考えられます


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まとめ


以上、将来ANAがコロナのせいで倒産して、ANAマイルが紙くずになってしまう可能性は低いであろう4つの理由を挙げてみましたが、これを読んだ後、何となくあった不安がなくなってもらえれば幸いです。

しかし、このコラムは将来ANAマイレージが保護されることを100%保証するのではなく、まず大丈夫であろう理由を伝えることを目的にしていますので、その点はご留意願います

当コラムをまとめると


「ANAが申請予定の1.3兆円の融資枠の一部は政府保証(ANAが返済する必要なし)」


「2010年にJALが法的整理された時、マイレージは保証された」


「万が一ANAが経営危機に陥っても、倒産はせずJALのように法的整理される可能性が高い」


「マイレージは貴重な収入源」


と、ANAがコロナで倒産してANAマイルが紙くずになってしまう可能性は低い4つの理由を述べさせていただきました。




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